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精密に練られたハズの犯行の手口と、犯行後の工作なのに、すべてウラ目ウラ目
に出続けるという、犯人にとっては、とても可哀そうなストーリーになった。

医療用の手袋一組無かった件。
なぜコロンボは、医療用の手袋を注目したのかが、最初分からなかった。
よく考えると、ダンジガーは、水着で担ぎ込まれたので、手袋を持っている
ことが出来なかったためだ。尤も、手袋にこだわる必要などないという途中の
会話もあった。そういうイレギュラーな筋書きよりも「犯行は手袋着用で!」
という常識的な行動を犯人の心理として起こすものだということを、コロンボ
は熟知していた。もう一歩踏み込むと、拳銃は事前に部屋に隠しておいたの
だから、同時点で手袋も隠しておくべきだった。ゴルフ用じゃなくてもね。
間の抜けた犯人だったな。

ダンジガー夫人への質問などカットされている。吹き替えの違いで分かる。
これには、夫婦関係など重要な内容も含まれている。
もし、刑事コロンボというドラマが、単なるミステリードラマであれば、
事件解決に直接結びつかないシーンなどは、カットされても良いだろう。
わたしは、単なるミステリードラマだとは思ってない。
だから、トリックが巧妙だとか、コロンボの事件解決への捜査がユニーク
などといったミステリー性の内容だけでは評価してはならない。
あくまで動機を主軸とした人間ドラマであるべきだ。

注視されている医療用手袋なのに、一組ならず二組まで盗み取るとは、
見た目に似合わず、間の抜けた犯人だな。

最後、鼻歌を歌いながら発見された手袋を確認するコロンボのウキウキ感は、
よく分かりますよ。自分が仕組んだワナが、ずばり的中したのだから。
でも、なんだかなあ~、そんな感じでいられると、安物のミステリーに
成り下がった感じ・・・メッチャ幻滅する。