30-4

最後エリザベスの悲しむ声に心が痛むが、立ち直りは思いの外早いだろう。
エリザベスは身体が不自由ではあるが、周囲の印象と違って自立心が強い。
それまでは、自立心を満たすよりも、周囲の心配を優先させるがゆえに、
静かに暮らしていただけだった。平たく言えば、気遣い屋だ。
だがコロンボとの会話で「壊れもののように言わないで!」や
ハロルドに対しても、自分が会長職へ就こうとする意欲を示すなど、
自立心の芽はふつふつと息吹を出そうとしていた。

そして、愛する夫の逮捕だ。その悲しみは混乱とショックによるもの。
よく考えると、ハロルドは母親を殺したのだ。更に裁判では、ハロルドの
浮気も明確になっていくだろう。
エリザベスはそれまでの自分を改め、時として自分を責めるかも知れない。
もし自分がシッカリしていたら、事件は起こらなかったかも?、と。
そこまで考えを巡らせることのできる感受性の強い女性なのだ。

そこからエリザベス会長、アーサー社長体制の快進撃が始まる。
もう騙されることなどない。信頼できるブレーンで脇を固め、
人材の登用や会社経営に目覚ましい能力を発揮するようになるだろう。